平成24年度第3回地域講演会「活き生き健康生活」

<開催日>平成25年2月2日(土)
<場 所>柿崎地区公民館
<内 容>
1.講演「肝臓がんの診断と治療」:診療部長 鈴木茂

 肝臓は体内最大の臓器で、その主な働きは@腸で吸収された栄養を処理・貯蔵するA有害な物質を解毒・分解・排泄するB胆汁の生成、分泌をするなど、化学工場にたとえられるほど複雑な働きをしています。
肝がんは、肺、胃、大腸に続いて4番目に多いがんで、年間約35,000人が肝がんで死亡しています。肝がんというと、ほとんどが肝細胞がんを指し、今回は肝細胞がんについてのお話をさせていただきました。

<なぜ肝がんになるのか?(原因)>
 肝がんの90%近くが、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスによるもので、そのウイルスが肝臓に長期間感染したことで慢性肝炎や肝硬変になり、がんができると考えられています。肝炎ウイルスの感染は、妊娠・分娩によるもの、血液製剤の注射によるもの、性行為によるもの、針刺し行為によるものなどがあり、感染すると多くは肝炎になります。肝炎ウイルスが体に侵入しても、肝炎にならず健康な人もいて、このような人のことを肝炎のキャリアといいます。B型、C型肝炎ウイルスに感染している人(キャリアも含む)は、肝がんになる確率が高いため、定期的に検査を受ける必要があります。

<肝がんの症状>
 肝臓は「沈黙の臓器」と言われるように、初期の自覚症状がほとんどありません。進行してくると、肝硬変の症状である全身倦怠感、食欲不振、尿濃染、黄疸や浮腫などがあらわれ、さらに進行するとがんが破裂し、腹部の激痛や血圧低下が起こる場合もあります。

<肝がんの診断>
@血液検査
 [肝炎ウイルスの有無を調べる]
  B型肝炎ウイルス・・・HBs抗原
  C型肝炎ウイルス・・・HCV抗体
 [肝障害の程度を調べる]
  血小板:進行した慢性肝炎や肝硬変になると血小板数が減ってきます。
  アルブミン:肝臓の機能が悪くなるとアルブミンが低下し、著しく低下すると浮腫や
        腹水が生じます。
  総ビリルビン(T-Bil):肝細胞が障害されたときに増加し、黄疸といわれる皮膚や
             白目が黄色くなる症状が出ます。
 [腫瘍マーカー]
  AFP:急性肝炎、慢性肝炎や肝硬変でも上昇しますが、20ng/ml以上の高値を示した時
    には肝がんが疑われます。その場合は、より特異性のある腫瘍マーカーAFP-L3分
    画を測定します。
  PIVKA-U:肝がんに特異性が高く、他の疾患で上昇することの少ない腫瘍マーカーで
       す。
A超音波検査(腹部エコー)
 肝臓の中を見る検査で、進行した慢性肝炎や肝硬変では3ヶ月毎に検査することが推奨
 されています。
B腹部CT
 超音波で検査しにくいところも見ることができます。造影剤を注射して病変を詳しく見
 ると、肝がんは血流が豊富なため造影剤のたまりとして見えます。
C腹部MRI
 エックス線の被ばくがなく、いろいろな方向から撮影できます。
D血管造影検査
 足の付け根の動脈から細いカテーテルを差し込んで、肝臓や腸管の動脈に造影剤を入
 れ、血管や病巣の状態を調べます。

<肝がんの治療>
 内科的治療と外科的治療があり、がんの数と大きさ、転移の有無、肝機能を評価して
 判断します。
 [内科的治療]
 @局所療法(穿刺療法)
  体の外から針を刺して局所的に治療を行います。がんの一部が残ってしまう危険も
  ありますが、副作用が少なく、短期間で社会復帰できるという長所があります。
  一般にがんの大きさが3cm以下、3個以下が対象になります。
 A経皮的エタノール注入療法(PEIT)
  無水エタノールを肝がんの部分に注射して、アルコールの化学作用によってがんを
  死滅させます。
 Bラジオ波焼灼療法(RFA)
  体の外から特殊な針をがんに直接刺して通電させ、がんを焼いて死滅させます。
 C肝動脈塞栓術(TAE)、肝動注化学療法(TAI)
  通常は、どちらも血管造影検査に引き続いて行われます。TAEは、がんに栄養を運ん
  でいる血管にカテーテルから塞栓物質を注入して肝動脈を人工的に塞ぎます。TAI
  は、抗がん剤と造影剤を混ぜてカテーテルから投与する治療法で、ほとんどの場合
  TAEと同時に行われます。(肝動脈化学塞栓療法TACE)
 D放射線治療
  骨に転移したときなどの疼痛緩和を目的に行われます。
 E抗がん剤治療(化学療法)
  手術や局所療法などの治療で効果が期待できない場合に行われます。
  ⇒リザーバー留置による抗がん剤動注化学療法
   がんに行く血管にカテーテルを留置するので、抗がん剤注入が外来でも可能になり
   ます。
 [外科的治療]
 @肝切除
  がんとその周囲の肝臓の組織を手術によって取り除きます。単発で比較的大きながん
  や、少数のがんで、肝臓の機能が保たれている場合に選択されます。
 A肝移植
  肝臓をすべて摘出し、ドナー(臓器提供者)からの肝臓を移植します。

<肝がんの予防法>
@肝炎ウイルスの感染予防
 通常の生活で、B型肝炎やC型肝炎ウイルスに感染する可能性はほとんどありませんが、
 血液を介して感染することがあるので、感染している人の歯ブラシやひげそりなど血液
 がついている可能性のあるものを共有するのはやめましょう。
A持続感染者に対する肝がん発生予防
 B型肝炎やC型肝炎ウイルスに感染している人(キャリアも含む)は、肝がんになりやす
 いので、早期発見のための定期検査を受けましょう。インターフェロンなどによる抗ウ
 イルス療法や肝庇護剤などにより発がんの可能性を減少させることもできます。

2.「華やかな音色で新春を祝う」―α遊音さんによる琴の演奏

上越市で活動されている邦楽アンサンブル「α遊音」さんから、『さくら』や『ふるさと』など馴染み深い曲を華やかな琴の音色で奏でていただきました。




3.表彰式


今年度、当院が開催した4回の講演会のすべてに参加していただいた13名の方に皆勤賞の表彰をさせていただきました。