第4回 頚北地区の医療を考える会

<開催日> 平成24年7月7日(土)

<場 所> 柿崎地区公民館

<内 容>
●第1部 基調講演
「地域のきずなは医療を支え、変える」
 浜松医科大学健康社会医学講座教授 尾島俊之 先生

 東日本大震災以降、地域のきずなを大切にしようという動きが全国的にも広まってきています。国の健康づくりの指針のなかでも地域のつながりの強化に重点をおいているように、地域のきずなと住民の健康には関係性があるとお話しいただきました。実際に、健康づくり推進員等の活動が活発な地域では、活発でない地域に比べてがん検診の受診率が高かったり、ゲートボールなどのスポーツ組織に参加している高齢者の多い地域では転倒率が低く、寝たきり予防にも効果が出ているとのことです。医療費の増大と医師不足が深刻化するなかで、医療が疲弊しないためにも、地域のきずなを活性化して住民の健康づくりを進めていくことは有効で、それが結果的に医師の定着にもつながっていくとのことです。
 そして、地域を良くするために、その地域に既にある資源・良いところを見つけること(アセット・モデル)から始め、それを発展させていくことを提言されました。


●第2部 シンポジウム
 @地域医療を支える住民活動を
   ―柿崎まちづくり振興会長 曽田良治様
  柿崎病院は136年の歴史のなか、幾度となく存続の危機に立たされ、経営母体を変え
 ながらも残ってきました。昭和45年に迎えた危機の時には、柿崎・大潟・吉川の3町が
 柿崎病院後援会を立ち上げ、署名や陳情活動などの住民運動が活発に行われました。そ
 の結果、県知事の視察にこぎつけ、病院の必要性を訴えることができたことで廃院を免
 れたという歴史があります。高齢化や人口減少というますます厳しい状況のなかで、こ
 れからも柿崎病院が存続していくためには、当時のような住民のパワーが必要です。そ
 して柿崎まちづくり振興会の活動の中でも、柿崎病院を核とした頸北地区のこれからの
 医療について住民たちが考えたり、良いとこ探しをしてそれを広めていく必要があると
 お話しいただきました。

 Aこの地域を元気にするには
   ―柿崎区総合事務所市民生活・福祉グループ長 古田晴雄様
  上越市は周辺の市町村に比べて介護サービスの利用が多いため、今年度から介護保険
 料が30%値上がりし、負担が増えました。これ以上保険料が引き上げにならないように
 するためには、生活習慣病が原因となって介護状態になることを防がなければなりませ
 ん。柿崎区の健診結果によると、血圧・コレステロール値が上越市のなかでも高いので
 それから脳血管障害などが起こり、介護サービスの利用につながることも多いようで
 す。地域が元気になるためには、住民の健康が第一です。健診を積極的に受け、生活習
 慣を見直して健康でいましょう。

 B地域医療と地域活動―病院ボランティアの活動を活発に―
   ―柿崎旭寿会長 蓑輪憲之様
  老人会では、自分の健康管理をきちんとすること、お茶飲みをして仲間と話をするこ
 と、人のためになることをすることを心がけているそうです。その一環として病院周辺
 の草取りなどのボランティア活動に積極的に取り組んでいただいており、大変お世話に
 なっています。草取りもけっこうな運動になるので、人のため、病院のためにするボラ
 ンティア活動が自分の健康のためにもなっているということです。現在、他にも2名の
 ボランティアの方から、外来患者の介助や案内、待合室の整理等のお手伝いをしていた
 だいていますが、自分たちの地域の病院という意識を持ってもっとたくさんの人にお手
 伝いをしていただきたいとお話しいただきました。

 C県立柿崎病院 ヘルスプロモーション活動紹介
   ―県立柿崎病院看護部長 小野塚久美子
  当院は地域医療病院として、病気の治療はもちろんですが、病気にかからないための
 保健・予防活動も積極的に行い、地域の皆様の健康維持・増進を目的に様々なヘルスプ
 ロモーション活動に取り組んでいます。その活動について紹介しました。
 <地域に出向く健康教室>
 ・地域講演会(活き生き健康生活)
   年に3回、地域住民の方を対象に、がんや心疾患、脳血管疾患、肺疾患、糖尿病な
  どのテーマで講演会を開催しています。年々参加人数も増え、住民の皆様の健康意識
  が高まってきています。また、3回の地域講演会と毎年7月に行われる「頸北地区の
  医療を考える会」に全て参加された方は、皆勤賞として表彰させていただいていま
  す。
 ・出前健康講座
   老人会や町内会、企業などを対象に、ご希望があれば出張で健康に関するお話をさ
  せていただいています。
 ・柿崎区産業まつり
   JAえちご上越はまなす支店で開催される柿崎区産業まつりに参加し、健康チェッ
  ク、健康相談を行っています。
 ・中学校、高校等での禁煙教室
 <院内で開催する健康教室>
 ・まつかぜ友の会 呼吸教室
   慢性呼吸器疾患のある方とそのご家族を対象に、健康チェックを行い、学習会と交
  流会を行っています。
 ・健康・さわやか教室(糖尿病教室)
   糖尿病で当院に通院されている方とそのご家族を対象に、糖尿病についてのお話や
  簡単な運動をしたり、食事のカロリー計算をしたりします。
 <その他の予防活動>
 ・人間ドック
 ・特定健診
 ・予防接種(肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン、麻疹・風疹ワクチン、子宮
  頚がんワクチン)
 ・禁煙外来

 D県立柿崎病院の医師不足状況報告
   ―県立柿崎病院長 藤森勝也
  当院では7月から内科医が1名減少し、常勤医3名(内科2名、外科1名)体制にな
 りました。ここ頸北地区は全国平均を上回る高齢化率で、約3人に1人が65歳以上で
 あるのに加え、周辺には開業医を含む医療機関も少ないため、当院のこの状況はかなり
 深刻といえます。実際に、内科外来では予約の他に具合の悪い方が数人いたりすると診
 療が午後に食い込み、医師は十分な休憩が取れていません。さらに、休日の日直や夜間
 の当直については、新潟大学からの応援を入れても月に1人平均7回をこなしながら翌
 日も通常通り勤務するという状況です。このような業務過剰により、今後診療の制限を
 せざるを得なくなり、仮に医師が一人でも急病になればすぐにでも診療が不可能になり
 ます。この地区の医療を守るためには、医師を確保する具体的な行動を起こす必要があ
 り、それは医療者の力だけでは不可能です。当院の現状を理解していただき、地域住
 民、行政、議員がお互いに支え合いながら地域の安心を作っていきましょう。