平成23年度第1回地域講演会「活き生き健康生活」

<開催日>平成23年6月4日(土)
<場 所>柿崎地区公民館
<講演内容>
1.もっと身近に!食道の病気のお話:診療部長 鈴木茂

 食道は気管と背骨の間にあり、心臓や大動脈、肺などの大事な臓器に接しており、手術などの処置が行いづらい位置にあります。そのうえ、漿膜(しょうまく)と呼ばれる、がんの広がりを抑える役割をする膜がありません。従って食道がんは、他の臓器に転移する率が高くなっています。
 食道がんは早期では無症状で、進行してくるとのどのつかえ感や声がれなどの症状が出現するため、発見される頃には進んでいる場合が多く、世界中で最も致死率の高いがんの一つです。男女比率は約6:1で圧倒的に男性に多いのが特徴で、いわゆるヘビースモーカーで大酒飲みという人に多いと言われています。WHOも2007年2月の会議において、アルコール飲料に含まれるエタノール(アルコール)自体に発がん性があると結論づけています。
 アルコールは肝臓で分解され、発がん物質であるアセトアルデヒドになります。通常なら酵素(2型アセトアルデヒド脱水素酵素)の働きによってさらに分解されて無毒化されますが、酒量が増えると分解が追いつかなくなり、肝臓で分解しきれないアセトアルデヒドが血流にのって各臓器へ運ばれます。各臓器では酵素が働いて分解されますが、食道では酵素がほとんど働かず蓄積してしまうため食道がんの危険性が高まるというわけです。
 日本人の約半数はこの2型アセトアルデヒド脱水素酵素の働きが悪く、酒に弱い体質で、少量の飲酒でも顔面紅潮、吐き気、頭痛などのフラッシングと呼ばれる反応を起こす人(フラッシャー)がいます。こういった人は、フラッシング反応を避けるため飲酒を控える傾向にありますが、長年飲み続けるうちに耐性が発生して酒に強くなっていくため、フラッシャーの大酒家は食道がんのリスクが高まるので注意が必要です。一日の飲酒量は、日本酒なら1合、ビールなら大瓶1本が適量です。
 自覚症状がないからと安心してはいけません。お酒の量に気を付けて食道がんを予防しましょう!

2.胸焼け胃もたれと薬:薬剤部長 押木文夫

 食道の主な病気のひとつである逆流性食道炎は、胃酸が食道へ逆流し、食道が強烈な酸にさらされることで、胸焼けや胃もたれといった症状が起こります。
 胸やけの薬は、効能によって以下のように分類されます。
 ●胃酸分泌抑制薬
  胃酸分泌を抑え、食道へ逆流する胃酸を少なくします。
  胸焼けなどの症状を改善し、胃酸による食道の炎症を改善します。
  @PPI(プロトンポンプ阻害剤)
   胃粘膜上皮内にある壁細胞の酸分泌の最終段階であるプロトンポンプに作用して不
   活化し、胃酸分泌を抑制します。
   ex.パリエット、タケプロン
  AH2ブロッカー
   壁細胞に存在し、胃酸分泌を調節しているヒスタミン受容体に作用して、過剰な胃
   酸分泌を抑制します。
   ex.ファモチジン
 ●消化管運動機能改善薬
  食道のぜん動運動を回復し、逆流した胃酸を胃に押し戻します。
  胃の運動を改善して胃からの排出を促進します。
  ex.ガスモチン、プリンペラン
 ●抗炎症・粘膜保護薬
  炎症を抑えるとともに、組織修復を促進します。
  ex.マーズレンS、プロマック、ムコスタ
 ●制酸剤
  胃酸を持続的に中和し、胃の粘膜を保護します。
  ex.マーロックス

3.知って守ろうあなたの胃と食道:看護師 箕輪充
(1)胃・食道の検査について
  胃・食道の検査は、主に上部消化管内視鏡(胃カメラ)を使って行います。内視鏡検
 査の特長は、粘膜の色など状態がよくわかり、組織を採ってがんを確実に診断できるこ
 とです。
 上部消化管内視鏡は、鼻から挿入する経鼻内視鏡と口から挿入する経口内視鏡とがあ
 ります。経鼻内視鏡は、経口内視鏡で起きる嘔吐反射が少なく、検査中も会話ができる
 ことが長所ですが、経口内視鏡に比べて見える範囲が狭いため時間が若干多くかかり、
 止血などの内視鏡治療ができないことが短所となります。

 〜上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)の流れ〜
  @前日の夜9時以降は、禁飲食です。
  A当日の朝食は食べないでください。
  B胃をきれいにする水薬を飲んでいただきます。
  C経口カメラの場合はのどに、経鼻カメラの場合は鼻の中に麻酔をします。
  Dカメラを挿入し、モニターを見ながら観察します。(10〜15分)
  E検査後2時間は、禁飲食です。

(2)日常生活について
  胃・食道に負担をかけないために、以下のことに気を付けましょう。
  @食生活を改善する…食べ物は30回以上かむ
            腹八分目にする
            食後は30分ほど休憩する
  A十分な睡眠をとる
  B喫煙者は禁煙する
  Cストレスの軽減を心がける
  
(3)その他の検査について
  当院で行われているその他の検査についてご紹介します。
  ●下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)
   便潜血検査で異常があった場合に行います。
   肛門から内視鏡を挿入し、観察を行います。
   <費用>特に異常なく当日帰宅した場合
    1割負担:約2,000円
    3割負担:約6,000円
  ●超音波検査(エコー検査)
  人間の耳には聞こえない高い周波数の音波を利用して、その伝播・反射の特性から臓
  器の状態を調べます。当院では、腹部、頸動脈、甲状腺、心臓、乳腺のエコー検査を
  行っています。
  <費用>
   腹部エコー  1割負担:  約500円
          3割負担:約1,500円
   頸動脈エコー 1割負担:  約350円
          3割負担:約1,050円
 

食道炎